#author("2018-08-21T18:58:56+09:00","","")
#contents

*概要 [#de35623a]
***開催期間 [#ea3e853a]
 2017年6月16日16:00 ~7月6日14:59

***概要 [#fbc49e08]



*攻略 [#pa5621a1]

***1節 見知ラヌ森 [#ob5885ef]

-終了時
 森は私にとって、母のような存在で
 あった。折り重なる枝と茂る草花が
 そよ風に揺蕩い、私を慈しむように
 抱きしめてくれる。私にとって
 心落ち着く場所は、最早森以外に
 なかった。「ここはどこ?
 早く戻らなくては……」
 帰る場所ならある。だが、そこに
 居場所と言えるような温もりはない。
 この森で意識を取り戻すなり
 前に行われた行為を思い出し、
 背筋が凍る。虚ろな目。
 意識とは裏腹に前へと進む足。
 長年植え付けられた恐怖心が
 自然とそうさせる。
 「帰らないと。帰らないと。
 帰らないと。帰らないと。」
 口から零れる言葉に意識
 は宿っていない。


***2節 黒キ獣 [#p44cb042]

-終了時
 怪しく騒めく茂み。
 そこからに染み出してきたのは、
 黒き怪物。獣ではないことは明らかだ。
 文字通り『染み出してきた』のだから
 納得するしかない。
 起き抜けの頭が急に鮮明になり、
 今がどういった状態なのか、
 自覚した。
 「私が今いる場所は、元いた世界
 とは異なる場所だ」
 そう自覚させるには十分過ぎる
 情報が並べられていた。
 そんな事はどうでもよい。
 今はただ、目の前の脅威を
 打ち払うのみ。拳を
 強く握りしめた……。

***3節 憧憬トノ邂逅 [#j0ae19ab]

-終了時
 振り返るとそこに居たのは、人間。
 ようやく出会えた人間。
 私は己の境遇を説明し、
 「どこか近くの町へと案内を
 頼めないか?」
 そう依頼しようとした瞬間であった。
 私を射抜いたのは、畏怖と鋭さを
 湛えた眼光であった。
 そこには、悍ましい怪物と
 対峙するような敵意が含まれていた。
 「早く、敵意がないことを、
 伝えなくては……」
 あぁ。そうか。先ほど私だって
 躊躇わなかったではないか。
 納得すると同時に、ようやく
 出会えた人間は躊躇せず、
 私を殺さんと襲い掛かってきた。
 
***4節 水面ニ映ル異形 [#t0785037]

-終了時
 息も絶え絶えにたどり着いた湖畔。
 背中にこびりついた脂汗を
 洗い流そうと、水面に触れる。
 「これが……私、なの?」
 自分の声がひどく震えているのが
 分かった。自分の歯が、
 カタカタと音を立てている。
 得たいのしれない恐怖が私を包んだ。
 恐怖には、慣れている。
 それが命の危機に瀕するような
 状況に晒されることも珍しくはない。
 痛みにも、慣れている。
 それに屈し、自分の意思でない行動
 をとらされる事もよくあることだ。
 だが、こんな事には慣れていない。
 自分の容姿がある日突然変る。
 そんな怪奇な現象など。
 
***5節 回想スル乙女 [#e4c84f35]

-終了時
 ……混濁する意識。
 下卑た男の矯声が木霊する暗い部屋。
 そこが私の生きる場所。
 物心つくより前から、
 そこが私の帰る家になっていた。
 両親の姿は思い出せない。
 不自然に甘い香の香りに、
 鼻は麻痺し、媚薬交じりの
 味のしない食事に舌は麻痺した。
 命令に背けば、暴力を奮われ、
 指名を増やすため、媚び続けた。
 暗く閉ざされた世界で、
 私は生ける傀儡と
 化していた。

***6節 乙女ノ抱ク憧憬 [#r894d2b4]

-終了時 
 壊れた人形が処分される叫びが
 鼓膜を揺さぶる。
 自我を保てず、狂った笑いが
 昼夜問わず響き渡る。
 心が壊れる者が大半を占める環境
 において、私がそうならなかったのは
 拠り所があったからに他ならない。
 どれだけ躰が汚されようとも、
 心までは汚せない。
 辛いときは決まって不遇な少女が
 救われる物語を反芻した。
 想いは馳せる。焦がれた憧憬。
 叶わなかった夢へと……。
 シンデレラ。それが私の憧れであり
 希望の全てであった

***7節 姫トナル決意 [#e323ea76]

-終了時
 頬を抓る痛みに、
 意識が呼び戻される。
 痛みは感じる。大丈夫。私はまだ
 正気だ。どうせいつも見る悪夢に
 違いない。暖かな日差しとともに、
 そよぐ柔風が頬を撫ぜる。
 覚醒した意識と共に見渡した世界は、
 焦がれ続けた物語の世界が
 広がっていた……。
 神様がいるのであれば、浴びせたい
 言葉は罵声だと思っていたが
 今日ばかりは違っていた。
 どうせ、いつかは覚める夢ならば。
 叶わなかった夢を叶えよう。
 私はいつも夢見ていた姫となるため、
 家臣を集めることにした。

***8節 姫ガ抱ク想イ [#o95615d5]

-終了時
 「ドウシタノ?泣イテイルヨ」
 気づけば、足元で蠢く蛇の群れ。
 現れたのは王子様でなくとも
 落胆はしなかった。嫉妬に囚われた
 私に相応しいのはこの醜い蛇たちだ。
 それに、穢れ切った私に求婚する
 愚かな王子などこっちから
 願い下げだ。初めて会う私よりも
 身分の低い者。
 ようやく他者に向けることができた
 蔑むような目線。あぁ。ようやく
 思い出した。私は死んだのだ。
 私を娼館から買い取ったのは王子様
 ではなく歪んだ性癖をもった只の
 商人であった。彼は私を精一杯
 愛した後、蔑むような視線を向け。
 私に覆いかぶさり、首の骨
 を砕いたのだ。

***9節 慟哭スル灰被リ [#h876dcbf]

-最終wave
 嫉妬の蛇ドリゼラ:ドウシテ私ジャ
 ナカッタノ?
 嫉妬の蛇ドリゼラ:ドウシテ
 コンナニ不幸ナノ?
 嫉妬の蛇ドリゼラ:ズルイ、ズルイ。
 嫉妬の蛇ドリゼラ:美シサダケデ
 救ワレタ、シンデレラ。
 嫉妬の蛇ドリゼラ:貴方ガ、憎イ。

-終了時
 「ドウシテ私ニ迎えガ
 来なかっタノ。」
 憎い。憎い。憎い。憎い。
 憎い。憎い。憎い。憎い。
 「ドウシテ私の美しい容姿ハ
 奪われたノ。」
 憎い。憎い。憎い。憎い。
 憎い。憎い。憎い。憎い。
 「アァ……シンデレラ。」
 憎い。憎い。憎い。
 「美しければ、
 イズレ救ワレルハズデショウ?」
 憎い。憎い。憎い。憎い。
 憎い。憎い。愛しい……。
 背反する想いが、
 胸の中で攪拌される。
 再び現れた死神の、優しい手招き。
 その視線に含まれた憐憫は
 勝者の余裕が漂っていた……。

***10節 憧憬ノ果テニ [#pfaa8e0e]

-最終wave
 嫉妬の蛇ドリゼラ:コノ世界ニ
 希望ナドナイ
 嫉妬の蛇ドリゼラ:何処マデモ続ク
 暗イ闇ダケ
 嫉妬の蛇ドリゼラ:アァ……
 幸セヲ、知リタカッタ

-終了時
 はみ出た臓腑。脳は痛みを誤魔化す
 ため麻薬を分泌する。
 千切れた四肢。残る力を振り絞り
 光を求め、手を伸ばす。
 「ねぇ……いっそのこと。
 私を、殺して……」
 生きて他者に蹂躙される人生を
 過ごし。夢にても他者に利用される
 くらいならば。この体を縛る業苦
 から解放されることを求めた。
 「下僕となるならば、
 生かしてやる。」
 そう聞こえた気がしたが
 私には届かない。聞こえない、
 微かに揺れる唇が紡ぐ返答は
 宛先も無く揺蕩う。
 それは限りない虚無に
 溶けて消えた……。



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